剣道は、技を磨くことに加えて精神力を鍛えることも重要で、そういった剣道の心得に通じる名言や四字熟語はたくさんあります。
手ぬぐいや竹刀、袴などに書かれているのをよく見かけますが、剣道家らしくてとても魅力的です。
剣道を始めて最初のうちは、それらの名言や四字熟語がかっこいいと感じて、お気に入りの言葉が書かれた手ぬぐいを大事にしますし、剣道を長く続けていると厳しい鍛錬での心の支えとして、竹刀にその言葉を刻む人もいます。
それだけ、剣道の名言は重要で、剣道をする人にパワーを与えるものなのです。
今回はそんな剣道でよく使われる名言や四字熟語についてお伝えします。
まだ剣道を始めて間もない人には、意味が深くて難しい言葉もありますので、できるだけ分かりやすい言葉で紹介しています。
この記事を読むことで、あなたの心を支える座右の銘をぜひ見つけてください。
奥が深い!剣道の手ぬぐいに書かれた四字熟語の『意味』を解説
剣道で使う手ぬぐい(面タオルとも言う)には、よく四字熟語が書かれています。
しかし、単に達筆な文字がデザインされているだけではなく、その文字には剣道家なら知っておきたい深い意味が隠されているのです。
下記にて、手ぬぐいによく書かれている四字熟語とその意味を分かりやすくお伝えします。
明鏡止水(めいきょうしすい)
『明鏡止水』とは、曇りのない鏡と止まった水の様子から、邪なところがなく澄み切った心の様子を表す言葉です。
手ぬぐいに書かれる定番の四字熟語で、私の子供もいろんなパターンの明鏡止水の手ぬぐいを持っています。
よく「明鏡止水の境地」という使われ方をしますが、剣道では落ち着いた状態でいることが大切です。
稽古の始まりと終わりには、黙想をして心を静かに落ち着けています。
雲外蒼天(うんがいそうてん)
『雲外蒼天』とは、雲を抜けた先には青空が広がっていることから、試練や苦難を乗り越えるとよいことが待っているという意味です。
剣道の稽古はつらく苦しいかもしれないが、頑張ってやり抜けばきっと報われる時が来ます。
未来を信じて、自分の成長を信じて剣道に取り組むことの大切さに繋がる言葉です。
切磋琢磨(せっさたくま)
『切磋琢磨』とは、お互いを励まし合いながら競う合うことを言います。
同じ道場の仲間だけでなく、時には他の道場のライバルとも競うことで、自分の技や精神を磨き上げるのです。
正に剣道にぴったりの言葉と言えるでしょう。
不動心(ふどうしん)
『不動心』とは、周りの事柄に左右されない強い心を表す言葉です。
四字熟語ではありませんが、手ぬぐいや道場の団旗に書かれているのをよく見かけます。
剣道の試合において、相手が強そうだったり体が大きかったりすると、動揺していつもの力が出せない時があるものです。
しかし、剣道ではいかに平常心で試合に臨めるかが大切で、何事にも動じない不動心を身に付けることが必要があります。
不撓不屈(ふとうふくつ)
『不撓不屈』とは、撓(たわ)まない、屈しないということで、どんな大きな困難に遭遇しても、くじけずに乗り越えていくことを表す四字熟語です。
その心持ちを言う「不撓不屈の精神」は、剣道に限らずスポーツ全般に通じる大切な言葉だと言えます。
子供のうちから不撓不屈の精神を磨いていくことはとても重要です。
克己心(こっきしん)
『克己心(こっきしん)』とは、自分自身に打ち克つ心のことです。
四字熟語ではありませんが、私が大好きな言葉でよく子供に言い聞かせています。
剣道において相手に勝つことよりも重要で難しいのは、自分に克つことです。
先生の目を盗んで稽古で手を抜いたり、自宅でやる自主練をサボることも自分次第で決めることができます。
しかし、その楽をしたい気持ちに打ち克ち、いかにブレずに目標に向かっていけるかが大切なのです。
剣道をまだ始めたばかりの子供たちには、ぜひとも心得て欲しい言葉です。
剣道の心得や精神を表したかっこいい言葉を紹介!
剣道には、剣道の心得や精神を表した特有の言葉があります。
初めて聞くと単にかっこいい言葉に聞こえますが、実は深い意味が込められた重みのある名言ばかりです。
下記にて、おすすめの名言を分かりやすく解説しながら紹介していきます。
一眼二足三胆四力(いちがんにそくさんたんしりき)
『一眼二足三胆四力』とは、剣道の習得において大切な心得を順番に並べた言葉で、剣道を言い表す名言としてはとても有名です。
まず、一番大切なのは目で相手をしっかり観察することで、相手の動きや心の内を読むことで自分が何をすべきか判断します。
実力者ほど、よく相手の動きを見て試合を組み立てており、観察力や洞察力に優れています。
次に大切なのが足さばきです。
私の子供が通っている道場の先生は「手で打つな、足で打て」とよく言われますが、足でしっかりと踏み込むことで強い打ち込みができます。
剣道に慣れないうちは、つい手から打ってしまいがちですが、実は足の方が大事なのです。
また、足さばきが身に付いてくると、サッと相手の間合いに入ったり、攻撃をかわしたりも上手にできるようになります。
三番目は胆力です。
剣道の試合では、緊張したり動揺したり恐れたり、いつもの自分の力を発揮できない心境になる場面はたくさん訪れます。
しかし、いかに動じず対処できるかが勝つための鍵になります。
これは精神を鍛練する必要があるのでとても難しいことですが、強い剣道家になるためには習得が必要です。
個人的には、一番重要な心得だと思っています。
最後に力、すなわち技や身体能力です。
スポーツで相手と競い合う以上、力や身体能力は大切ですが、それでも剣道の習得においては四番目になります。
まずは相手を観察する目、足さばき、胆力をしっかりと身に付けた上で、技や身体能力の向上を目指しましょう。
遠山の目付(えんざんのめつけ)
『遠山の目付』とは、相手の一部分だけに焦点を向けるのではなく、相手の顔を中心に遠くの山を見るように全体を見渡すことです。
戦っている最中は、相手の動き出しを見逃すまいと、どうしても相手の竹刀をジッと見てしまいがちですが、それでは視野が狭くなってしまい柔軟な戦い方ができません。
そのため、遠い山をみるようにぼんやりと広い視野で相手を見据えるのです。
そうすることで、相手の動きを捉えやすくなるだけでなく、精神的にも余裕を持って対処できるようになります。
剣心一如(けんしんいちにょ)
『剣心一如』とは、剣(竹刀)は心一元的なものであり、正しい修業をすれば、正しい心を磨くことになるという心得です。
剣道では技だけでなく精神も鍛えていきますが、その方法を長い年月をかけて作り上げてきました。
そのため、その方法を習得するために修業(稽古)があり、正しく稽古を行うことで正しい心を身に付けることができるのです。
ちなみに剣心一如も剣道ではとても有名は言葉で、よく剣道の信念の書き初めの題材になる事があります。
最後に
今回は、手ぬぐいによく書かれる四字熟語や、剣道の精神や心得を表した言葉を全部で9つ紹介しました。
中には、意味が難しくて理解しづらいものもあったかもしれませんが、剣道を続けていると次第に分かってくることでしょう。
たった数文字ですが剣道の深い真理を付いた言葉はたくさんあり、今回はその中でも私なりにおすすめの言葉を選びました。
座右の銘とまではいかなくても、今後剣道を続けていく中で少しでもあなたの手助けになればとても嬉しいです。