剣道の試合で勝つためには、素早い打突だけじゃなく、足さばきもとても重要です。
なぜなら、足さばきが上手くなることで、打突の威力が増したり、相手の攻撃をうまくかわせるようになるからです。
とはいえ、練習したからといって、簡単に足さばきが身につくわけではありません。
私の子どもも小学校低学年のころから、道場で徹底的に足さばきを教わってきましたが、なかなか習得できませんでした。試合になると普通に歩いてしまっていたのです。
そのため、道場だけじゃなく自宅でも一緒に足さばきの練習をはじめてみました。すると、時間はかかりましたが、次第にきれいな足さばきができるようになり、試合でも使えるようになったのです。
足さばきを身につけたことで、動きがスムーズになり剣道らしい動きができるようになりました。
そこで今回は、剣道で使う4種類の足さばきや、自宅で簡単にできるトレーニング法、そして足さばきで気をつけるポイントについて紹介します。
剣道の足さばきは全部で4種類
まず、剣道で移動する際の足の動きはすり足です。右足を前、左足を後ろにして、両足の間隔はこぶし一個分くらいあけます(試合ではもっとあける場合が多いです)。左足のかかとは少し浮かせます。
基本的にはこの姿勢をとることが前提で、さらに4種類の足さばきを行うのです。
具体的には、下記の4つになります。
- 送り足
- 開き足
- 継ぎ足
- 歩み足
それでは、それぞれの足さばきについて、くわしくお伝えします。
送り足
足さばきの中でも、一番基本になる動きが送り足です。
前に進むときも後ろに下がるときも、この送り足を使います。
具体的には、前に進むときは先に右足を前に出して、次に左足を引きつけます。逆に下がるときは先に左足を後ろに下げて、次に右足を引きつけます。
重要なポイントとしては、引きつける際に体の重心を移動することです。
私の子どもは、最初この重心移動が上手くできず、ふらふらしたり、重心が残っていたことで次の動作に移るのが遅れていました。
ただ足を動かすだけじゃなく、引きつけで体全体を移動させるイメージを持つといいでしょう。
開き足
横に動くときに使うのが開き足です。相手の攻撃をかわす際にも使われます。
右側に動くときは右足から、左側に動くときは左足から動きます。
左に動く際は最初に動いた左足が前になるのが基本ですが、実際には左足を後方に下げながら動かします。そうすることで、先述した右足が前、左足が後ろの基本姿勢をすぐにとることができるからです。
この開き足は、すり足ができてないと、無意識に足をクロスして横移動してしまうため、次の動作が遅れてしまうことになります。剣道の試合では狙われると致命的です。
そのため、私は子どもがすり足に慣れてきたら、はやい段階から開き足を意識するよう練習したり、口酸っぱく伝えてきました。
継ぎ足
攻撃の姿勢に入る際や、相手にプレッシャーをかける際に使うのが継ぎ足です。
通常の構えから、左足を右足のすぐ後ろまで引きつけます。
打突をする際は左足で体を押しだすため、左足が前に進むことで、飛び出すポイントも前に進み、遠くまで打ち込めるようになるのです。
しかし、継ぎ足からの打突は、どうしても1テンポ遅れてしまうため、小学生でも高学年になってくると技が決まりにくくなってきます。
私の子どもも、継ぎ足から打突をすることはほとんどなく、間合いをつめたり、タイミングをずらす際に使っています。
歩み足
歩み足は、普通の歩き方に近い動きです。
ただし、すり足をしながら左右交互に足を出します。前の足を追い越しても大丈夫です。
あまり頻繁に使うことはありませんが、相手との間合いが大きくあいたときに、歩み足で一気に間合いをつめます。
この足さばきは特に難しくないので、すり足さえできていればすぐに身につきます。
自宅でできる足さばきトレーニング
自宅でも簡単にできる足さばきのトレーニング方法を紹介します。紹介する方法は下記の2つです。
- 背中に竹刀を固定した練習
- ラダートレーニング
どちらの方法も、子どもが低学年のころから、自宅で実践してきた方法です。この練習のおかげで、スムーズな足さばきができるようになりました。
背中に竹刀を固定した練習
竹刀を背中に縦に固定して、背筋を伸ばした状態で足さばきを練習します。
タオルなどで、お腹と胸辺りを二か所巻きつければ大丈夫です。
背中から後頭部まで竹刀が触れているのを確認しながら、背筋を伸ばした姿勢で行います。
こうすることで、足さばきの際に前かがみになるのを防ぎ、ブレない正しいすり足ができるのです。
通っている道場では、竹刀を横にして腕で挟んでやりますが、家の中で練習するときは狭くてできなかったので、この方法をはじめました。縦にした方が面倒ですが、より背筋を伸ばすので子どもには効果的でした。
この練習をするときは、ツバを外すのと、途中で竹刀が落ちないように気をつけて行いましょう。
ラダートレーニング
ラダートレーニングを足さばきに応用した練習方法です。
まずはラダーの1つのマスに両足を入れて、基本の姿勢を取ります。次に前後もしくは左右の隣のマスに片足を移動させたら、すぐに反対側の足も同じように移動させます。この動作を繰り返していきます。
この練習の目的は、引きつけを早くすることです。そのため、後からついてくる足を素早く動かす必要があります。
慣れてくれば、少しずつ移動するスピードを上げてみてください。1マス飛ばしでやったり、2歩前に進んで1歩戻るなどアレンジを加えてみてもいいでしょう。
わが家では、いろんなパターンを作って、毎回タイムを計りながら練習しています。子どもがあきないような工夫があると、ながく続きやすいです。
剣道の足さばきで気をつけること
足さばきをする上で、気をつけてほしいことをまとめました。どれも子どもと一緒に練習するなかで、気をつけてきたことです。
できるだけ足を上げずにすり足をする
すり足の際、あまり足を上げすぎると次の動作が遅れてしまいます。できるだけ床ギリギリを滑らせるようにするといいでしょう。
左足のかかとは必ず上げる
すり足を意識しすぎるあまり、左足のかかとが地面につくことがあります。これでは動きづらいですし、打突の出だしが遅れます。必ずかかとは上げるようにしましょう。
引きつけを意識する
打突の際、早く打ちたい気持ちから、前にある右足ばかりに意識が集中することがあります。しかし、打突のスピードや威力を上げたいなら、むしろ引きつける左足の方に意識を集中させるようにしましょう。
体重移動の感覚をつかむ
左足を引きつけても、重心が後ろに残っていては意味がありません。引きつけた瞬間、スムーズに前に体重移動する感覚をつかむようにしましょう。
打突のときは床をしっかり踏み込む
足さばきとは少し違いますが、すり足を意識するあまり、打突のときの右足の踏み込みが弱くなることがあります。少し足を上げてでも、強く踏み込むことは大切です。
まとめ
剣道の足さばきは、日常生活ではほとんどやらない動きなので、コツをつかむまで時間がかかるかもしれません。
とくに、剣道初心者の方や、小学校低学年のうちは、けっこうハードルが高いでしょう。
しかし、きちんとポイントをおさえて反復練習さえすれば、比較的短期間で身につけることもできます。
地道な練習ですが、剣道が強くなるためにも、頑張って足さばきを身につけましょう。
なお、下記の記事では手の内のトレーニング法を紹介しています。よかったらご覧ください。
