先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の強さと役割を解説

先鋒、次鋒、中堅、副将、大将が並んで面と竹刀を置いている様子 親子で学ぶ剣道のこと
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剣道の団体戦では、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将それぞれのポジションによって求められる強さと役割は異なります。

なぜなら、チーム全体として勝利するための戦略があるからです。

そのため、もし団体戦のメンバーに選ばれたら、個人戦とは違う、団体戦用の戦い方が必要になってきます。

そこで今回は、団体戦に出る前に覚えておいてほしい先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の強さと役割について詳しくお伝えします。

各ポジションの強さの順番や、どんなタイプの選手がどのポジションに向いていて、どういう戦い方をすればいいのかまで分かる内容です。

すでに団体戦のメンバーに選ばれた人はもちろん、まだ剣道を初めたばかりで事前に知っておきたい人も参考にしてみてください。

なお、剣道の団体戦は大会によって3人制や7人制だったり、先鋒と次鋒が低学年もしくは女性と言う決まりもありますが、今回は、小学生や中学生のオーソドックスな5人制を想定して解説していきます。

 

先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の強さ

先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の強さ

まず、それぞれのポジションの強さの順番をお伝えします。

一般的には下記の通りです。

大将>中堅=先鋒>副将>次鋒

一番強いのはやはり大将で、チームの顔と言えます。

次に強いのが中堅先鋒です。

どちらにチームの2番手が入るかは、チームの戦略次第で変わってきます。

先鋒、中堅、大将がチームの主軸となり、1人飛ばしでバランスよく並ぶ形が多いです。

次が副将で、最後が次鋒になります。

もし団体戦で人数が5人揃わなくても、基本的には最低3人いれば出場はでき、削られるポジションは4人なら次鋒が、3人なら次鋒と副将が対象になります。

なぜなら、不在のポジションの相手は2本勝ちになるので、メンバーが揃っているチームに不利にならないよう、弱いポジションから抜かされていくからです。

とはいえ、次鋒でも副将でもメンバーに選ばれるだけで強い証拠ですので、誇らしいと言えるでしょう。

 

イレギュラーな場合

イレギュラーな場合

上記が基本的な強さの順番ですが、場合によっては違う順番で並ぶこともあります。

例えば、団体戦が勝ち抜き戦の時です。

勝ち抜き戦の場合、勝てば続けて次のポジションの相手と戦うことになり、引き分けだとお互い退きます。

そのため、体力的なことを考えて先鋒から弱い順番で並べることがあります。

また、最後に一人でも残った方のチームの勝利なので、相手の大将と引き分けることも考え、副将に一番強い選手を持ってきたりもします。

その場合、弱い選手を大将に据えますが、これを「捨て大将」と言います。

次に、チームの戦略としてあえて基本と違う順番にする場合もあります。

例えば、私の息子が通う道場では一番強い子供を中堅に持ってきて、2番手を先鋒に持ってきます。

なぜなら、早めに強い子を持ってくることで試合の流れを掴み、心理的に有利になるためです。

また、あまり強くないチームがする戦略として、次鋒や副将にあえて強い子を持ってくるパターンもあります。

チーム全体の総合力では敵わなくても、勝てそうな組み合わせを作り確実に勝ち星を積み上げる戦法です。

 

先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の役割

先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の役割

では、ポジションによって役割はどう違うのでしょうか?

実は先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の並びは強さだけではなく、ポジション毎の役割に適した選手であるかどうかも判断基準になってきます。

それでは、先鋒から順番にその役割をお伝えします。

 

先鋒

先鋒は、切り込み隊長でありチームに勢いをつける必要があります。

そのため、自分から積極的に仕掛けて、攻めの剣道ができる人が最適です。

また、他のポジションのように状況に応じて戦い方を変える必要はないので、多少経験値が低くても正直何とかなります。

また、一番手で出てきますが、自分の勝ち負けでチーム全体の勝敗はまだ決まらないので、プレッシャーも比較的掛からないポジションです。

個人戦のように、自分の普段の剣道をやりやすいポジションと言えます。

 

次鋒

次鋒は、先鋒と中堅を繫ぐポジションで戦況に合わせて戦い方を変化させます。

もし、先鋒が勝てばその勢いを中堅に繋げるために負けない剣道をし、先鋒が負ければ取り返すために攻める剣道が必要です。

また、前述した通り、次鋒はあまり強くない相手の可能性があり、できれば勝ち星を取りたいポジションと言えます。

 

中堅

中堅に求められるのは勝負強さです。

前半戦の大将とも言えるポジションで、どういう状況で出番が回ってきても、勝ち切る必要があります。

中堅次第で後半の試合展開が変わることもありますし、もし2連敗で回ってくれば、絶対に負けられません。

そのため、メンバーからの期待が大きく、メンタルの強さも中堅としては大切な要素です。

 

副将

副将は、後ろに大将が控えているので、次鋒のように繫ぐ剣道が必要ですが、加えて勝負強さも持ち合わせておかなければいけません。

なぜなら、前半戦の勝敗次第では必ず勝たなければいけない場面があるからです。

また、相手チームの大将がすごく強い選手だと分かっていれば、副将で勝負にいくこともあります。

さらに、それまでのチームの取得本数によっては2本勝ちを狙わないといけないかもしれません。

副将は比較的強くない選手がくる場合が多いですが、強豪チームだと強い子を配置することもあり、勝負のポイントとなるポジションです。

 

大将

大将は、様々な要素でレベルが高いことはもちろんですが、特に強いメンタルは必要不可欠と言えます。

なぜなら、どんな状況で出番が来ても、チームが勝つ可能性があれば何とかしなければいけないポジションだからです。

しかも、チームの期待を一身に背負っているので、プレッシャーも計りしれません。

私も、息子が通う道場で何人も大将を見てきましたが、強かった子が大将になった途端、人が変わったように勝てなくなることがよくありました。

いくら強い子でも、普段通りの力が発揮できないなら、プレッシャーが掛かりにくいポジションの方がいいですし、逆にあまり強くなくても、とにかくプレッシャーに強い子なら大将に向いているかもしれません。

そのため、大将は強靭なメンタルを持っていることが必須条件と言えるでしょう。

 

最後に

団体戦でのゴールは、あくまでチームとして勝利することです。

選手それぞれが個人戦のように、ただ自分が勝つためだけに戦っていたのでは、チームの力を発揮することはできません。

チームの一員として、チームのために戦う意識が大切です。

そのために、団体戦のメンバーは事前に先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の強さを把握して、各ポジションの担う役割を知った上で試合に臨まなければいけません。

なお、団体戦は低学年のうちからあるので、まだ剣道を習いたての子も、これから剣道を始める子も早めに身に付けておくといいでしょう。